予感の手触り

感想の掃き溜め

Christo,Jeanne-Claude展に行ってきた

※美術に関しても完全な素人なので、あくまで感想を述べるにとどまります。


本日2012年1月30日(月)、札幌宮の森美術館で開催されている「Christo,Jeanne-Claude展」に行ってきました。


初めて宮の森美術館に来たので、ちょっと迷ってしまった。
入口に「**時〜 結婚式」みたいなことが書いてあったので
「あれ、間違ったかな?」と思って建物の周りをしばらくうろうろしてたが、
iphoneの地図アプリはその建物を示していたので、意を決して潜入。

受付のお姉さんに「ここが宮の森美術館ですか?」と聞いたら、
「はい、そちらのショップの奥です(ニッコリ」と答えが。
その笑顔が良かったです。






さて茶番はこれ位にして、肝心の展示会の様子をば。


まず、僕はクリストとジャンヌ=クロードのことを全く調べずに行ったので、
どんな作品があるかわからず、結構ワクワクしてました。

 *知らない人のために
   http://christojeanneclaude.net/index.shtml(英語サイト)
   クリスト - WikipediaWikipedia


 *このブログに作品の画像を載せるのは適法かどうかわからないので、もしこの記事を読んでくれている人はgoogleなどで画像検索してみてください。
  申し訳程度に、最後に作品の画像が乗っているサイトを紹介します。




最初に観たのは、小売店の店先らしき絵画。
いや、厳密には絵画かどうかわからない。その一部に布と包装紙が使われていたからだ。

この時点では、まだ「あー単に絵を描くだけじゃないのね」位にしか考えてなかったのだが、
この後、良い意味で、それも数回、期待を裏切られることになる。


次に観たのが、海岸に沿った断崖絶壁を布で包んだ様を描いた絵だ。
こちらも崖を包む布は現実の布が使われていた。

作品の傍らの解説を読み、僕はここで一つ目の裏切りを経験する。
なんと実際に崖を布で包み、その様子をこの絵画にしたらしい。


「崖を布で包む」という風景を自分の頭の中に思い浮かべて、それを絵にする位だったら全く驚きは無いのだけれど、
それを実際にこの世界で再現した、ということにびっくりした。
うーむ、何でも論理の網で捉えないと気が済まない僕は、ここで「包む」という行為がどういう意味を持つのか、を探る泥沼にはまってしまった。
それと同時に、布に包まれた崖、という光景が違和感をもって鮮明に浮かんできた。
むむ、そりゃ包まれてるからね。


この後、橋や公園の通路、島(!)が淡々と「包まれていく」様を絵で体験する。
とりわけ面白かったのが、ベルリンにあるライヒスタークという建造物が布で包まれている光景だ。
シルバーの布で包まれたライヒスタークは、朝日、昼の太陽光、夕日を反射してその色を多彩に変えていた(これは実際に撮られた写真で見た)。
これが本当にきれいで、「包む」ことの意味は「保存する」「隠す」ことにあるのかな、と漠然と考えていたのが完全に吹き飛んだ。単純にきれいだったから。



それ以後の作品は、むしろ「包む」ことから離れていく。

広大な草原を白い布のフェンスで仕切る「ランニング・フェンス」、谷をオレンジ色の布で仕切る「ヴァレー・カーテン」、無数の傘を地表に立てる「アンブレラ」(茨城でもやってる!)などなど。

ここにくると、もう「包む」の意味なんてどうでもよくなってくる。
それに代えて「布」の質感・色が表現そのものなのだということに気づく。

それを一番感じたのが、ニューヨークの公園に、オレンジ色の門みたいたものにオレンジ色の布を垂らしたものをひたすら並べる「ゲート」という作品を観た時だ。
風にはためく布はもう風そのもののような気がしてくる。ドレープ性というのでしょうか、風の形を具現化したように布が形を変える様をみると、それがもう公園の一部のような気さえしてくる。
冬の公園にはそぐわないようなオレンジ色なのに、むしろそれが風をより鮮明に感じる助けになっているように感じるのだ。

うーむ、これは面白いな。






とこのように敢えて言語化してみましたが、観てる時は
「うー、よくわからんなー。けど綺麗だな」位にしか考えてません。

今は、帰る時に買った作品集みたいなものを見て思い出しつつ書いてます。


帰りにこの美術館の館長さんらしき女性と会話。
糸井重里さんのサイトにクリストとの対話が載ってて面白いよ」ということで検索してみた。

ほぼ日刊イトイ新聞 - クリストさんとの短い対話。

うむ、おもろい。
作品の一部の画像が最後にあるので、見てみてはいかが。


今までは、美術の教科書に紹介されているような、いわば「正統」な美術しかしらなかったけれど、
この展示会で、もうそんな枠組みは通用しないことを知った。

こういう体験が美術展の醍醐味なんだろうか。
結構面白かったのでまた機会があれば別の展示会に行ってみよう。